意外!食中毒の発生は梅雨よりも冬のほうが多い!? ~腐敗と食中毒02~

前回「腐敗と食中毒01」の中で“腐ったものを食べたからと言って食中毒になるのではない”ということをお伝えしました。その「原因」となる微生物の種類の違いを知っていただけたかと思いますが、今回はその特徴についてお伝えしたいと思います。

▼こわいのはコレ!菌別発生数

円グラフを見ていただいてもわかるように、圧倒的に多いのが「ノロウイルス」で全体の4割を超えるほどです。次にカンピロバクター、黄色ブドウ球菌、サルモネラ菌と続きます。

▼微生物の特徴
*ノロウイルス
特徴:食品中では増えず、人の腸管内でのみ増殖。少量のウイルスでも感染し、感染した人のふん便には症状の有無に関わらず大量のウイルスがふくまれる。
対策:調理する人は丁寧な手洗いを!食品は十分に加熱しウイルスを不活化(殺菌)する

*カンピロバクター
特徴:牛・豚・鶏の腸管内に存在。少量の菌数でも発症する。熱や乾燥に弱い。
対策:加熱調理したものを食べるようにする。器具や手指を介して生野菜などに二次汚染したことが原因と考えられる事例もあるため、生肉を取り扱った後の手洗いや調理器具の洗浄・消毒を徹底する。

*黄色ブドウ球菌
特徴:人や動物の皮ふ・鼻粘膜・化膿巣(傷口)などに存在。食品中で増殖する際に毒素を産生する。毒素は100℃30分の加熱でも分解されない。
対策:十分な手洗いと手袋などを使用すること。特に手指に傷や化膿巣があるときは、直接食品を取り扱う作業を避ける。

少しの菌でも感染するとか、高温で加熱しても分解されない毒とか、怖すぎますよね。できる限りの殺菌・消毒、手洗いも徹底を心がけましょう。

▼実は冬のほうが、圧倒的に食中毒件数が多い!

次に食中毒の発生時期について。食中毒は暑い時期になりやすいのかと思いきや、圧倒的に冬の方が多いんです。下記のグラフをご覧ください。12月~1月の発生件数が飛びぬけて多いことがお分かりいただけると思います。

原因はケースバイケースと思います。手洗いや消毒・殺菌関連のことはもちろんですが、「夏場は腐りやすいからよく火を通しておこう」「冬は少々のことなら大丈夫」という意識もあるかもしれません。いずれにしても、食中毒を引き起こす原因について正しく知ることが、自分の身を守ることにつながることは間違いないでしょう。

■協力・参考:東京都 福祉保健局 健康安全研究センター
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin/anzenjoho_index.html