冬、日本海側は大雪・太平洋側はカラカラになるのはナゼ?

東北地方の日本海側をはじめ、ホワイトアウトや大雪で深刻な事態になっている一方で、太平洋側の各地域では、乾燥によるさまざまな影響が深刻化するなど、日本列島が二つの極端な現象で悲鳴をあげている状況です。なぜ、このようなことになるのでしょうか。

よく耳にする「冬型の気圧配置」とは、大陸(日本列島の西側)に高気圧、日本の東海上から千島方面に発達した低気圧がある状態で「西高東低」とも呼ばれます。南北方向に等圧線がのび、冬季の日本付近の等圧線の間隔は、年間を通じて最も狭く、北西の季節風が吹きます。

雪の多い東北地方を例に見てみましょう。
日本海側では、大陸から吹き出してくる冷たく乾燥した季節風が、暖かい日本海を渡る際に海面から熱と水蒸気の補給を受けて雪雲が発生します。このため日照時間が少なく、雪の降る日が多くなります。

▼メッシュ平年値2010「日照時間」

(画像:気象庁HP)

発生した雪雲は山にぶつかって上昇し、山沿いに大量の雪を降らせます。
※冬型の気圧配置が強まると平地でも大雪となります。

▼冬の特徴:北西の季節風 ~日本海側では雪/太平洋側では晴れ~

東北地方だからといって、すべての地域に雪が大量に降るわけではありません。太平洋側では季節風が奥羽山脈を越える際に乾燥し、沿岸地域や平野部を中心に乾いた晴天となることが多くなります。
※強い寒気に覆われると雪が降ることもありますが、東北地方南部の太平洋沿岸で長期間積雪になることはあまりありません。

▼メッシュ平年値2010「最深積雪(2月)」

(画像:気象庁HP)

■冬型の気圧配置(西高東低)の特徴

・大陸からの寒気が強ければ強いほど冬型の気圧配置が強まり、季節風が強く吹きます。
・季節風が日本海を渡るとき、海面からの暖かく湿った空気の影響を受けて雪雲(積乱雲)が発生・発達します。
・この雪雲は奥羽山脈を越えず、山にぶつかって日本海側に雪を降らせます。
・山脈を越えた季節風は乾燥しているので、太平洋側では晴天の日が続きます。


雪で事故や生活への大きな被害がある地域、乾燥でインフルエンザの流行や火事などが発生している地域、今年の冬はとりわけ「冬型の気圧配置が強まっている」といえそうです。どうか皆さまくれぐれも気をつけてお過ごしくださいますように。

参照:気象庁HP

(アール)