【天・気になるシゴト】お茶の葉いろいろ、美味しくいれるコツ

食事時にお茶を急須でいれて飲んでいる方はどれくらいいらっしゃるでしょうか? ペットボトルや缶のお茶も種類が豊富で手軽ですが、やはり急須でいれたお茶の美味しさは格別です。【天・気になるシゴト】日本茶編、お話をしてくださるのは前回に続いてお茶製造販売会社・法師園の法師励(ほうし つとむ)さんです。

法師励さん

―― 埼玉県もお茶の名産地なんですね

この辺りのお茶は「狭山茶」といわれますが「川越茶」が始まりです。埼玉県でお茶の栽培が始まったのは江戸時代で古い歴史があります。

―― いつ頃からお茶の栽培をされているのでしょうか?

法師園でお茶栽培をスタートしたのは昭和54年頃からですので、いま40年目くらいですね。お茶業界ではまだ新しいんですよ。

ちなみに、お茶の前は養蚕業をしていました。ウチも含めて周り一帯に桑畑が広がっていたんですが、化学繊維が主流になったことで養蚕業は衰退し、やむなく桑からお茶に転業しました。桑が育つ土壌は茶も育つ。相性がよかったんですね。

―― 狭山茶は、どのような特徴があるのでしょう?

栽培されている茶葉の8割程度が「やぶきた」という品種です。お茶は茶葉を摘んだ後の工程でも味が変わってくるのですが、狭山茶は「狭山火入」と呼ばれる独特の仕上げ技術がありまして、味と香りに特徴があるといわれます。お茶の味はそれこそ好みにもよるかもしれませんが、色・香り・味とお茶の特徴3つのうち、狭山茶は味が評価されています。

とくにこの「おくはるか」は、色が薄くて少し地味なんですが、お茶本来の甘みが感じられると好評なんです。隠れた銘茶だと思います。「おくはるか」のように「おく」と名前についているお茶は「遅い」という意味でして、他にも「おくみどり」(静岡)「おくひかり」(静岡)などがあります。

―― お茶にも種類がいろいろあるんですね。ちなみに、茶葉にはどんな違いがあるのでしょう?

実際に、見てみましょう。

下の写真のものが、うちでは高級なお茶になります。

―― 確かに、右のほうが葉の大きさが揃っていてツヤもありますね。お茶を美味しくいれるコツがあれば教えてください。

お湯の温度は大事ですね。番茶やほうじ茶は熱湯でいれてもよいですが、高級な手摘みの茶葉でいれるときは、お湯を湯のみ茶碗で少し冷ましてから茶葉(茶さじ2杯程度)を入れた急須に。煎茶をいれる温度は「お風呂のお湯よりちょっと高め」くらいが良いといわれます。ふたをして1~2分待ちます。

複数の茶碗に注ぐときは、濃さが均等になるように注いでください。そして最後の一滴が最も美味しいといわれますので、しっかり最後まで注ぐのも忘れずに。

お茶は急須でいれてくださいね。最近のご家庭には急須がない家が多いと聞きますが、お茶を美味しく飲むには急須は必須です。

―― 同じ茶葉で何回くらいいれて大丈夫なものですか?

1回目のお茶を一煎目、次を二煎目…と呼びますが、一番美味しいのは一煎目。飲んで味わえるのは二煎目くらいまででしょうね。


確かにペットボトルで簡単にお茶が飲める時代ですが、やはり急須でいれたお茶は格別ですね。法師園さんおススメの「おくはるか」、甘みが強くてとても美味しかったです。法師さん、ありがとうございました。

取材協力:法師園

(アール)