【防災】火の用心!日本の火災、出火原因第一位は“火”よりも“電気”

アメリカ合衆国の西海岸・カリフォルニアで大規模な火災が発生し、多くの人が亡くなったり、家などを失って避難したりと大変なことになっています。火災の原因について、詳細はまだ報じられていませんが、いずれにしても史上最悪の事態になっていることは間違いないといえるでしょう。

日本でも冬は、他の季節と比べて火災が増える時期です。その要因としては火を使う機会が増えること。また、空気が乾燥していると火の燃え広がりやすい条件が揃ってしまうので、火災の規模が大きくなる傾向があります。12月~4月に起こる火災が1年間に起こる火災全体の4割程度になっています。

■火災発生のメカニズム

「燃える」という現象については、一般には発火して炎が出る状態をいいます。ですが、炎が出ていない状態が長く続く場合もあり、こうした現象については燻焼(くんしょう)といいます。

図のように、「燃える」条件として
① 熱エネルギー
② 可燃物(可燃性の気体・液体・固体)
③ 酸素(空気中には21%存在、そのほかのほとんどは窒素)
この3つの要素が必要となり「燃焼の3要素」と呼ばれます。熱エネルギーに関しては、発火源もしくは発熱源として、そのもの・または周囲の可燃物を燃やすために必要です。具体的には高温固体(炭・たばこ・線香など)、電熱体(ニクロム線など)、発炎体(ライター・ろうそくなど)から発生します。タバコはコンロや放火(放火疑いも含む)とともに主要な発火源となっています。また、電熱体を原因とする電気火災が増加しています。

■注意すべき暖房器具

東京消防庁に取材したところ、アンケートの結果では「石油ストーブ」が危ないと思っている人が多かったけれど、実際に起こった火災は「電気ストーブ」が原因のことが多いということがわかりました。「もちろん普及数なども関係すると思いますが、電気だから安全、ということはないので気をつけていただきたいですね。」とのこと。
① ストーブのそばに燃えやすいものを置かない
② 外出時や就寝時は必ず消す
③ 洗濯物を乾かすために使用しない
…などなど、気をつけるべきポイントをしっかり覚えておきましょう。

■防火の原則

① 火の用心(火災予防)
最も短い手紙として有名な「一筆啓上 火の用心 お仙泣かすな 馬肥やせ」にもあるように、とにかく「火事を出さないこと」は昔から暮らしの基本中の基本でした。日本の住宅は木造が殆どだったことからも「火の用心」は最も重要なことだったのでしょう。

② 出火を感知する(火災感知)
万が一火が出てしまったら、いち早く知ることが大事です。人が感知するには限界もあり、例えば就寝中など発見の遅れが命取りとなってしまいます。住宅火災では逃げ遅れによる死者が約70%を占めています。日本では2011年6月からすべての住宅に住宅用火災警報器(住警器)の設置が義務づけられました。

③ 火を消す(消火)
火炎が天井に達しないうちに消せば、損害を最小限にとどめることができるといわれています。防火区画の多い大規模なビルなどでも、火源から周囲に着火する前に消すことが理想です。火を早く消すこと(初期消火)は、火の用心とともに、火災から命や財産を守る基本的な要素となります。

<火を消す方法5つ>
水をかける・酸素を遮断する・可燃物を除去する・火を吹き消す・燃焼反応を抑える

消火器はとても有効な消火用具ですが、消す対象によって種類がことなります。
・紙・木・繊維などの固形物の火災…A火災
・油・ガソリンなどの液体の火災…B火災
・電気設備の火災…C火災
※一般的にはどのタイプの火災にも適応できるABC加圧式粉末消化器が普及しています。

消火器の使い方は簡単ですが、いざとなったときにちゃんと使えるよう、日頃から防火訓練などに参加し、使い方の訓練をしておきましょう。

冬は暖房器具を使う、火を使う機会が増えます。火災に関する知識を少しでも増やし、日頃の防火に役立てていただければと思います。何はともあれ「火の用心」ですね。