【旬のサカナ】あまい=うまい!? 美味と賞賛されるアカアマダイ

名前に「タイ」とついていても、いわゆる「鯛」の仲間ではないサカナがたくさんいると、以前こちらのコラムで書かせていただきましたが、このアマダイもそんな「あやかり鯛」の一種で、実際にはスズキの仲間です。けれどもその味の良さからタイにひけをとらない高級魚としてもてはやされています。
世界中に生息し、日本には主に食用とされる3種。市場に出回っている大半のアマダイはこのアカアマダイです。水分が多めなので、そのまま頂くよりも昆布や塩でしめたり、干し魚にされることが多く、そうすることで美味しさが凝縮されるんですね。

柔らかく崩れやすくて扱いにくいけれど、その味の良さは江戸時代から賞賛されており、かの徳川家康公もお気に入りのサカナだったとか。アマダイの別名として、静岡では「興津鯛」と呼ばれているようですが、この命名をしたのが家康公だったといわれています。別名といえば京都では「グジ」の名前で親しまれていますが、これはアマダイの頭の形状から。四角い頭を方頭(くず)と呼ぶことからきた名前のようです。確かにアマダイの頭は、急な角度で曲がっていますよね。また、地域によってはかなりひどい呼び名もあり、例えば淡路地方では「鍋腐らし」…これは鍋が腐るほどまずいサカナ、という意味。高知では「ビタ」・・・使い物にならないという意味。山口では「バトウ」…頭でっかちで馬のような頭という意味。家康公にも気に入られていた美味しいサカナの名前とは思えないものもあるようですね。

アカアマダイは砂の泥の中に巣穴を作って生活します。いくつかの巣穴の集団があり、かなり広範囲にわたってアカアマダイの集合住宅のようになっています。縄張り意識が強く、巣穴に侵入したら大変!体当たりを食らわせて追い払うとも言われます。昼間は巣穴から出てエサを捕り、夜になると巣穴に戻って過ごす…まるでサラリーマンのような?生活をしているようですが、ちょっと親近感が増したりして。

食欲の秋!秋~冬にかけて旬を迎えるサカナも堪能したいですね。

(アール)