「異常」という言葉が頻出!2018年の気象を振り返る①

2018年の師走も半ばを過ぎました。12月になってからも沖縄で夏日や熱帯夜を記録するなど、1年間を通じて「異常気象」がたくさん報じられました。今年の漢字も「災」と、大きな災いがあったことを強く意識させられる字になりました。

大雪に始まって、空梅雨や豪雨、猛暑、台風の異常…数え上げればきりがありません。ライフレンジャーでは「予報士サイレン」をはじめ、「朝イチ!」「今週の天気」「週末の天気」など、気象に関するトピックをお届けしておりますが、それぞれの担当をしている気象予報士と2018年の気象について振り返ってみたいと思います。第1弾は、今年どのようなことが起こったか?気象予報士9名に取材した結果とコメントの抜粋を発表します。

2018年気象について、強く印象に残っているトピック

■平成30年7月豪雨
・西日本を中心に全国的に広い範囲で記録的な大雨
・1府10県に特別警報が発令される
・ライフラインに大打撃

<予報士コメント>
・経験したことのない大規模な豪雨災害。正常性バイアスが避難行動の妨げになっているケースも見受けられ、危険性や緊迫性をいかに住民に伝えるか、情報を発信するタイミングなど伝達のあり方に課題を突き付けられた災害だと感じた。
・過去経験したことのない大雨の可能性は事前から把握できていたにも関わらず、あまりにも広範囲で記録的な大雨が発生。多くの人命が犠牲になるなど、避難の難しさ、減災の難しさを痛感した事例。

■異常な猛暑
・東日本の月平均気温は過去1位
・記録的な高温
・熱中症で救急搬送された人が前年比180%(※5~9月統計)

<予報士コメント>
・7月23日に埼玉県熊谷市で日本一の記録を更新、翌8月には岐阜県内の2か所で40.0℃を観測。平成最後の年に最高気温の記録ベスト3がランクイン。エアコンをオフィスでも家でも終日つけたままだったことが印象的です。
・梅雨明けが早く猛暑との長期戦となった今年の夏。命に関わる危険な暑さとなり、熱中症予防が連日呼びかけられたが、熱中症搬送者数は過去最多の約9.5万人(昨年比1.8倍)にのぼった。生きづらい環境になったなぁと思う。

■台風の猛威と異常な動き
・「迷走する台風」(台風12号)
・観測史上1位となる暴風を記録(台風21号)
・交通機関に大影響・塩害(台風24号)

<予報士コメント>
・本州(紀伊半島の東)に上陸し、中国地方を西に横断し九州を通過し東シナ海へ進んだ。もちろん統計開始以来初めてのことであり、気象の常識を覆した出来事。
・大阪湾を北上し関西圏に記録的な暴風と高潮。大阪市47.4m/s第二室戸台風を上回る過去最大級の潮位となり、関西空港は滑走路が水没。また車の横転や看板や屋根が飛ぶなどの被害も多数。関西電力管内で160万戸が停電。
・接近までの勢力は関西で暴れた台風第21号に匹敵。当初は首都圏直撃コースも予想され、久しぶりに身の安全確保を考えた。通過翌日、マイカーに白い斑点とベトつき。かなり内陸にも塩害をもたらすほどの威力。

■大雪
・南岸低気圧
・東京都内で「大雪警報」(奥多摩町)
・各地で記録的な大雪、歴代最大を更新

<予報士コメント>
・南岸低気圧による都心部の大雪。アメダス東京では平成で第2位の日最深積雪23cmを記録。帰宅困難を避けるべく、多くの企業で早期退社を実施し公共交通機関は大混乱。積もった雪も低温により雪解けも遅く、影響が長引いた。

・新潟・福井などでの記録的な暴風雪や、東京都心で4年ぶりとなる20㎝以上の積雪となったのもまだ記憶に新しいですね。夏の猛暑とは対照的に、昨冬は雪や低温などによる被害も相次ぎました。


気象に関するニュースのほかにも、9月には「平成30年北海道胆振東部地震」が発生し、北海道で初めて震度7が観測されました。広範囲にわたって崩れ落ちた山の映像はショッキングなものでした。

第2弾・第3弾では、それぞれのトピックについて気象予報士の解説をお伝えします。