【旬のサカナ】お正月に欠かせないサカナといえば・・・

12月も半ばに突入、年末・年始がもうすぐそこに…!“平成最後”を強く意識してしまう瞬間も増えそうですね。平成最後の年明けは、どんなお正月にしたいですか? 今回は、お正月に欠かせないお料理に大きく関係するサカナをピックアップしてみたいと思います。

■春を告げるサカナ

ニシンは世界中の寒い地域の海に生息する冷水魚です。いくつかの種類に分類されていますが、日本でも数種類のニシンが水揚げされます。狭い場所に一斉に寄り集まって産卵をする現象を「群来(くき)」と言い、これが春先であることから「春告魚(はるつげうお)」とも呼ばれます。大正時代には70~80万トンもの漁獲量があり、「群来」の際には沿岸部が産卵活動のために真っ白になったとか。

■字は体を現す…!?

ニシンを漢字で書くと「鰊」「鯡」があります。もともと身を2つにして干した「身欠きニシン」にすることから称された「二身」。ちなみに「鯡」の字が充てられたのは、江戸時代に松前藩(北海道松前郡)がニシンを米に匹敵するほど大事な食糧として、海から獲れる米と考えたことから。

■おめでたい席で大活躍

おせちの定番「カズノコ」はニシンの卵巣です。子孫繁栄を願う意味合いから、正月のおめでたい席に食する風習が定着しています。「ニシンの子」なのに「カズの子」と呼ばれるのはなぜ?というと、アイヌではニシン=「カド」で、「カドの子」がなまって「カズの子」に。たくさん(数)の子、という意味合いにかけているのかもしれません。ちなみにニシンに関しては「二親」、つまり両親とたくさんの子ども達=家の繁盛ということ、なのですね。
ニシンの卵は粘着性が強く、海藻にしっかり貼り付きます。この性質を利用して、産卵期のニシンを追い込み、昆布に産卵させたものが「子持ち昆布」になります。ニシンそのものも、卵になる前の卵巣も、卵も全部食べられる万能の食材なんですね。

■用途も色々

食料としてはもちろんですが、明治時代にはニシンの油を石鹸にしたり火薬の原料にしたり、製糸業の要ともいえるカイコの飼育に必要な桑の肥料としても使われ、さまざまな用途で戦時中の日本を支えていました。ニシンから石鹸…ちょっと想像がつかないですが、考えてみれば石鹸の材料って油とアルカリ性の灰などだったんですものね。

日本に限らず、世界中で食べられるニシン。レシピも色々ですが、甘酢に漬けた〆(しめ)ニシン・ロールモップはヨーロッパの代表的な食材のひとつ。煮たり焼いたり和えたり、いろんな料理として食卓にあがっているんですね。

(アール)