【旬のサカナ】世界中で愛され食される「神の魚」とは

お弁当のおかずの定番でもあり、スーパーなどでも一年を通して購入することができる「サケ」。いつが旬なの?というと、まさに今!9月の北海道を皮切りに12月にかけて産卵のため川を遡る姿を見ることも。

■サケ=シロザケ?名前もさまざま

サケといえば、身が赤くてサケはサケ、わかりやすいサカナじゃない?と思っていましたが、サケの分類はちょっと複雑。普段私たちがスーパーなどでよく目にしていて、いわゆる「サケ」と呼んでいるのはシロザケ。それ以外の例えば銀サケや紅サケについては「マス」の仲間として扱っていました。

サケともシャケとも呼ばれ、時期や大きさによっても名前が変化。秋になり産卵のために戻ってくるサケを、北海道では「アキ(秋)サケ」や「アキアジ」と呼びます。秋に戻ってくるのが定説なのに、春から夏にかけて北海道の太平洋沿岸を北にのぼり、ロシアの川に戻っていくサケは「トキシラズ」と呼ばれます。時期を間違えた(知らなかった)ということでしょうか。また、秋に戻ってくるサケの中には産卵前の未成熟魚も混じっており「ケイジ」と呼ばれ珍重されている高級サケも。

海外で捕れるサケの名前はもっと複雑です。英語圏では、河川で生活しているサケ(仲間)を「トラウト/Trout」、海で生活しているサケ(仲間)を「サーモン/Salmon」と分けています。サカナ売り場に行くことがあれば、どんな名前がついているか観てみると面白いかも。

■サケの特徴とは?

サケの分類はとても複雑…とのことですが、これがサケ科です!という特徴についていくつかピックアップしてみると下記の5項目になります。

1:頭が大きい(全長の1/4~1/5を占める。成魚のオスは特に大きい)
2:ヒレに硬い棘(とげ)がない
3:背ビレがカラダのほぼ真ん中にあって、その下に腹ビレがある
4:背ビレのやや後ろに小さなヒレ(脂ビレ)がある
5:脊椎骨に関して腹部の内臓を守っている腹椎(ふくつい)が多め(他の細長い形状のサカナは、腹椎よりも尾部のほうが多い。

■身は赤いのに白身のサカナ?

サケの身が赤いのはカニやエビなど主食としている生物の色素によるものとされています。サケは産卵時期になると殆どエサを食べず、蓄えたエネルギーだけで川を遡るので、身が白っぽくパサパサしがちになります。海で捕れるサケの価値が高いのは、しっかりご飯を食べているサケだから!ということですね。

■レシピもいろいろ

ムニエル、塩焼き、照り焼き、蒸し焼き、ステーキ、フライ、塩漬け、粕漬け、鍋に入れてもよし、燻製にしてもよし、シチューやパスタ、味噌汁の具にも…サケのレシピを挙げるときりがないほどたくさんありますよね。「るいべ」や北海道のチャンチャン焼きなど、郷土料理として有名なものも。身だけではありません。筋子やイクラも絶品です。

日本では古くからサケを食べてきました。北海道のアイヌの民はサケを「神の魚」と呼んでとても大事にしており、サケにまつわる民話なども語り継がれています。また、クマに運ばれたサケが森に栄養を与え育てているとも言われています。サケというサカナが日本人の生活や風土に密接に関わり、親しまれてきたことがわかる資料なども多く存在するようです。

(アール)