さまざまなお仕事と天気の関係をお聞きする「天・気になるシゴト」、第7弾としてお届けしているのは、和装の着付けやレンタルをされている「美麗 Kimono&Culture」の小杉盟子さんに伺ったお話です。和装と雨って、さぞ相性が悪いのでは?と思って伺いましたが、なんとも意外な事実が判明しました!
小杉盟子さん
① 着物の着付けやレンタルをなさるお仕事の中で天気はどの程度重要ですか? 10段階評価でお願いします。
そうですね。天気が良いのに越したことはないと思うのですが、着物は日常着として着られていたものなので、どんな天気にも対応できるんです。それこそ土砂降りだろうが雪だろうが着て生活していましたからね。
最初は慣れていないと大変だと思いますが、雨の日でも楽しめるようにはなっているので、予約がある限り、お店は必ず開けるようにしています。大雪の日も開けていたんですよ。
夏の時期、冬の時期、それぞれ人によって体感温度も違いますし、それこそ今では天候のありかたも亜熱帯気味になっている感じもありますので、臨機応変に、一番着心地が良いものをお勧めしています。
もちろんお客様とご相談して決めますので、暑いから無理とか寒いから着られないとか、天候や気温は気になるとは思いますが、こちら側でも十分に配慮しております。
お天気がどれくらい重要?といわれると、まず着られる方のことを思うとかなり重要で「9」になります。状況に合わせた準備も必要になりますしね。
② 天気について、何を・一番・どのタイミングで、知りたいですか?
そうですね。早い時期に正確な天気が時間単位でわかるのに越したことはないのですが。週間予報は毎日みて、先1週間分は必ずチェックしています。
③ 天気はいつどんなときにチェックしますか?
夜のうちに次の日の1日の様子をだいたい把握するようにしています。ピンポイント情報だと、台東区のゲリラ豪雨情報がアラームでわかるようにして、常に気にしています。
④ 天気によって苦労していること・工夫していることは?
お客様のケアが一番ですね。天気は常に気にしていると先ほど申しましたけれど、浅草周辺に何時くらいに雨が降りそうか?など、かなり気にしながら、情報をお客様にもお伝えしています。
出かけるときに雨が降っていなくても「もしかしたら、ちょうど人力車を降りられる予定の○○時頃、雨が降り始めるかもしれないので、雷門の目の前ではなくて、浅草寺の入り口に近いところで降りた方がいいですよ」という風にお伝えしたり。
雨になると下駄の鼻緒が濡れてしまうので、防水スプレーをかけたりもしますね。夏はゲリラ豪雨にしても、気温にしてもとにかく天気が気になります。
梅雨はもう「雨が降るもの」として覚悟していますので傘で大丈夫ですが、傘もさせない花火大会では、それとは別の対策をしています。
冬の大雪の日はアザラシの毛の草履をはいたりするんですよ。撥水がすごくて暖かいんです。
⑤ 今までで一番「天気に悩まされた」ことは?
隅田川花火大会のときです。去年(2017年)は、開催前の夕方頃に激しいゲリラ豪雨がきて、もしかしたら花火大会自体がなくなるんじゃないか、と心配になったほどでした。
そのとき、すでに40人くらいのお客様が着付けも終わって出ていらっしゃったので、突然帰っていらっしゃるかもしれないし、これからのお客様のキャンセルがあるかも!と、とにかくすごくバタバタしました。
でも結局どなたもキャンセルなく、そしてどなたも帰っていらっしゃいませんでした。花火も無事にあがりましたしね。
着物が日常着だった、というお話には、確かに!と目からうろこでした。前回お聞きした「身近なものでできる雨対策」も合わせて、今年の夏は浴衣を思い切り楽しみたいですね。小杉さん、ありがとうございました。
取材協力:美麗 Kimono&Culture 小杉盟子さん
http://birei-asakusa.tokyo/
モデル:伊藤早苗さん(カラーコーディネーター)
(アール)