【天・気になるシゴト】ハイパー干物クリエイターは、毎日が天気との闘い

“ハイパー干物クリエイター”の藤間義孝さんが、ハイパーな干物をつくる過程は、想像以上に「天気との闘い」でした。地形や山、風、季節…さまざまな条件を知ったうえで、刻々と変わる状況に細やかに対応。今日は恒例「5つの質問」から、藤間さんのvs.天気について伺います。

藤間義孝さん

①  干物づくりの中で、天気はどの程度重要ですか? 10段階評価でお願いします

8~9くらいですね。
干物づくりは、干すまでは人間がやりますが、そこから先は天候任せ、天気次第ということになります。風も、晴れ具合も、日照時間も、とにかく完全にお天気次第の商売です。

風については、海から吹いてくるとナライといって、この辺りでは湿った空気をはらんだ「雨雲を連れてくる風」になっちゃうんですよ。ほかに、ホコリを連れてくる風とか、季節によって違いますね。

風は例えば天気予報図なんかだと、地域全体に吹く風のことを予測したりしていると思いますが、この一角だけの条件が違うことも多くて。そこに山があるだけでも全然違うので、その日そのときで判断するしかないんです。

②  天気の何を一番、どのタイミングで知りたいですか?

夕方5時に次の日の天気が完璧にわかるのが一番嬉しいですね。パートさんに、朝になってから「休むかもしれない」って連絡になってしまっているので申し訳なくて。
午前中曇りマークで午後から雨、ってことになるとなんともいえなくて、本当に困りますからせめて前日にわかるのが理想ですね。

③  天気はいつどんなときにチェックしますか?

翌日に関しては作業が終わってすぐ見ますし、朝、作業場に出てきて魚の準備をしたりするときにも。3月4月なんかはもう、急に突風になったりするんで参りました。9時くらいまでは無風だったのに…最初の判断が外れることもありますので、天気図が更新されるタイミングで見ていますね。そういう意味ではしょっちゅうチェックしているといっても過言ではないかもしれません。

アプリとか天気予報だと、風に関しては先ほども言いましたが、あまりアテにならないので、雨雲レーダーを見ますよね。3日間分くらい見て自分で予想して「これは外れるな、もしかしたら雨が降るかも」みたいな。実際、この辺りだけ雨が降っていることも結構あるんです。

天気は、山を見るとだいたいわかります。そこの山ですよ。もう10数年以上見てきているから、あまりはずさないです。ただほら、本当に突発の「狐の嫁入り」みたいな雨はわからないですけど。雨は決まった方向から降ってくるんですよ、こっちからくるってことはまずないので。

④  天気によって苦労していること・工夫していることは?

雨の日は魚を干せないので、例えばみりん干の作業を組み込んでやり過ごして晴れを待ったり。みりんは漬け込みに時間がかかりますので。あとは、道具の整備をしたり清掃したり。晴れの日には忙しくてなかなかできないことをします。

⑤  今までで一番「天気」に悩まされたことは?

去年の長雨です。これまでにこんなこと、なかったんじゃないかな。何週間もお日様でなくて、さすがにできることがなくなってきて、本当に参りましたね。


なるほど、干物づくりは想像以上に天気との関わりが深い…というより、天気との関わりそのものだったんですね。あのプリプリした食感と、ジューシーな味わいが忘れられません!藤間さん、どうもありがとうございました。

取材協力:干物屋ふじま http://yoshi-uo-tei.shop-pro.jp/
干物ダイニングyoshi-魚-tei http://yoshi-uo-tei.com/

(アール)