【天・気になるシゴト】ハイパー干物クリエイターの干物がハイパーな理由とは

さまざまなお仕事と天気の関係をお聞きする「天・気になるシゴト」、第5弾に登場いただくのは“ハイパー干物クリエイター”の藤間義孝さん。お名前のインパクトもさることながら、天日干しで作られる、藤間さんの干物のハイパーっぷりがとにかくスゴイんです。

藤間義孝さん

 ―― 藤間さんの干物の、どんなところが「ハイパー」なんでしょう。

「旨みたっぷりでジューシー」と、食べた方が言ってくださいますね。干物なのにこんなにジューシー?って驚かれます。きっちり干しているんですよ、天日で。もう、こればかりは食べてみていただいて、この言葉と照合していただけたらと思います。

―― アジ、みりん干し、エビなど、確かにすごくジューシーですね。

でしょう!(笑)

―― お店も経営されることになったのは、どんな経緯なんですか?

最初は干物のアンテナショップを出そうかと思っていたのですが、それだとお土産物屋さんみたいになってしまうかなあと思いまして、そういうことではないな、と。
それで飲食店を出すことにしました。僕が思うに一番よいのは「食べていただくこと」だったんです。お客さんに目の前で干物を食べていただくことができ、直に声を聞くことができる。それによって技術の研鑽にもつながると思いました。

飲食店をしていると、たまたま料理人の方にうちで干物を口にしていただいて「何これ!!」って。取引してくれませんか?なんてこともありました。干物はおかずにもなるし、酒のアテにもなるし。
そんなこんなで日本酒を扱うお店とお付き合いが増えてきたんですよ。干物と日本酒は相性がとてもよいですから。

都内の有名な飲食店がうちの干物を出してくださるようになり、かなり拡散していただきました。飲食店だけではなく、そこで食べたお客さんから「個人では買えないの?」って問合せを頂くようになって、メディアなどにも取り上げていただいて。

―― ところで、なぜ「ハイパー干物クリエイター」という名称をつけられたのですか?

その件は、本当によく聞かれます。(笑)
実は娘が、学校で友だちと「お父さんの仕事はなに?」みたいな話になったらしくて。僕の仕事は「水産加工業」になるのですが、娘をはじめみんな「なんだそれ?」って。

確かにこの仕事をしている人や、こうして目の前で作業を見ていただくと「水産物を加工している仕事」だとわかりますが、初めて耳にする方や、ましてや子どもだとわからないのも無理ないと思うんですよ。何を作っているのかも想像つかないでしょうし。

ちょうどその話を娘から聞いた頃「ハイパーメディアクリエイター」という言葉がメディアなどにもよく出ていて、じゃ、僕の場合はメディアじゃなくて干物だから「ハイパー干物クリエイター」って言えばわかりやすいし面白いんじゃないかって。最初は本当に冗談のつもりだったんですが、ことの外、馴染みがよかったというかウケがよかったんです。

―― かなりインパクトの強い名称ですよね?

はい。少なからず色物っぽい名前ですが、この名前のおかげもあってこうして広がってくれて、干物に少しでも目を向けていただけるキッカケになり、結果よかったなと思っています。

それに、自分を鼓舞することにもつながっていますね。こういう特殊な名前をつけているのに干物が普通だったら「なんだよ!」ってことになるじゃないですか。「こういうのってよくあるよね、名前だけ」なんて言われると、みっともなくてイヤなので、この肩書きに恥じないように、どうすればもっと美味しい干物をつくれるか、本当に毎日考えています。

―― 干物の未来もハイパーな感じに変わっていきそうですね。

そうですね…。近年、干物だけではなく、焼き魚を食べていただく機会が減っているようです。台所(キッチン)の変化もその原因のひとつかもしれないですね。ガスではなくオール電化になったことや、魚を焼いて煙が出たらクレームにつながってしまうケースもあると聞いたことがあります。

でも、本当に美味しい干物を皆さまに提供することができたら、もっと干物に興味を持ってもらえたり、干物の良さに気づいていただけたり、干物を食べる機会が増えるかもしれないと思っているんです。

そうすれば、ほんの少しかもしれないけれど、この業界全体の底上げの手助けになるかもしれないなと思っています。こんなこと言うのはおこがましいですけれど、本当に一端でも担えればと。

干物に目を向けるキッカケ、そのお名前だけでも十分インパクトがありますが。藤間さんの干物のインパクトはそれ以上のものでした!次回は藤間さんが干物づくりを始めたきっかけや、干物を美味しくするいくつかの条件をお聞きします。

取材協力:干物屋ふじま http://yoshi-uo-tei.shop-pro.jp/
干物ダイニングyoshi-魚-tei http://yoshi-uo-tei.com/

(アール)