【天・気になるシゴト】それは辛そう!競技場の管理で一番気になるのは…

天気が気になりそうなオシゴトや、天気との意外な関係などをお聞きする本企画。第4弾は国立競技場・秩父宮ラグビー場で、グラウンドの管理をされている渡辺茂さんにお話を伺っています。本企画恒例の5つの質問を渡辺さんにお答えいただきたいと思います。

渡辺茂さん

① グラウンドをキープ(保守)されるお仕事の中で天気はどの程度重要ですか? 10段階評価でお願いします

やはり10点だと思いますね。芝の管理作業って雨が降っているとできない作業になりますので。
芝刈りをはじめ、肥料をまいたりラインを引いたり。予報とにらめっこして、作業を前倒ししてやらなければいけないこともありますし。基本的には晴れたときに作業をするので天気はとても重要です。

もっと言えば、長期的な管理においても天気はかなり大事ですね。週間天気予報などをみながら、作業の段取りを早めたり調整したり。もちろん、グラウンド整備に関してはイベントの当日ぎりぎりにやったほうが良い事が多いのですが…。芝刈りにしてもゼブラ模様(刈目)は直前にやったほうがきれいに出るんですよね。

② 天気について、何を・一番・どのタイミングで、知りたいですか?

雨が降るタイミングですね。作業にかかわりますから。それから気温の上がり下がり、日照も重要ですが、こればかりはどうしようもないことで…。
例えば芝の生育が悪かったときなどは、あとで振り返って日照が少なかったせいだとか、気温の影響が大きいとか、そういうことに対する材料となります。

③ 天気はいつどんなときにチェックしますか?

日常的にチェックしますね。作業のスケジュールを組むタイミングとか、割と一日中気にしている感じです。

④ 天気によって苦労していること・工夫していることは?

作業が天候に左右されるので、スケジュールの前倒し、1日の作業時間を延長しても絶対に仕上げてその日のうちになんとかする、ってことでしょうか。

日常的な芝刈りだと、芝刈り機1台を使って大体2~3時間です。ラインを引いたりするのに1~2時間。これがその日の天気によって、作業できる時間帯が限られてくると、朝早くからの作業になったり、逆に夜遅くまでになったりすることもあります。

⑤ 今までで一番「天気に悩まされた」ことは?

雪ですね。雪に悩まされたことは何度かありますが、試合直前に降り始め、除雪して対応したところ、雪と一緒にラインが消えてしまったり。現在のようにペイントでライン引きをしていなかった当時は石灰でラインを引いていたものですから。試合は始まったものの、競技中にもどんどん積もっていくんですよ。本当に大変でしたね。

中止になる大会もありますが、サッカーの国際試合などは予定がずらせないので、除雪してなんとか試合が行われるようにしたこともありました。
経験で言うと雪の状況や降雪後の天候にもよりますが、降雪量が15cmくらいだったら除雪して、試合をしてしまう。それ以上降った場合など、除雪に掛かる時間等から判断して中止をすることもありえます。全国から足を運んでくださったお客様のためにも、試合ができるコンディションになるよう、当日集まった関係者全員で頑張ります。

ただ、グラウンドはなんとかなっても観客席の安全が確保できない場合は試合をすることはできません。施設はグラウンドだけではなく、観客席もすべて含めて安全第一で動いています。


あの広さの雪かきは、想像しただけでも凍えてしまいそうです。観客席もグラウンドも安全第一で…、外での作業が多く、大変な毎日と思います。渡辺さん、ありがとうございました。

取材協力:独立行政法人 日本スポーツ振興センター

(アール)