【季節の花】歴史、ロマン、品種…きれいな花には○○がある!?

5月~6月にかけて、バラの見ごろとなります。世界で最も逸話とロマンにあふれているともいえるバラ。歴史が古く、品種も多く、さまざまな用途で使われている…という書き方をすると、ちょっとロマンティックな感じが薄れてしまいますが、今回はバラに関する話題を。

■ミステリアスで長い、バラの歴史

バラの歴史はかなり古く、紀元前500年頃には栽培されていたとも言われています。ルーツは未だに解明はされていませんが、ヒマラヤ付近で発祥したという説が濃厚で、数種類の野生のバラが世界中に広がり、交配種とし新しいバラが生まれ、改良され…と、長い歴史があります。

歴史でいうと、1455年にイギリスで起こったバラ戦争。赤いバラをシンボルとしたランカスター家と、白いバラをシンボルとしたヨーク家の権力争いです。30年間の抗争の末、権力を手にしたのはランカスター家でしたが、このとき王位を継承したエドワード4世は、ヨーク家のエリザベスを妃として迎えています。エドワード4世、エリザベス妃、ともに壮絶な人生ですが、それはまた別の機会に。

■オールドローズとモダンローズ

14世紀以降、バラは芸術作品のモチーフとしても芸術家達から愛されるようになります。ちょうどその頃、ヨーロッパではバラの栽培が盛んになっていた、という背景も関係するかもしれません。

1800年以降、ナポレオン皇帝の最初の妻だったジョセフィーヌという女性が、バラの栽培に多大なお金と熱をいれていました。このとき彼女のバラ園で働いていた庭師が、初めて人工で交配した新種のバラを育て、バラの歴史に大きな変化をもたらしたといわれています。花の形や色、香りや開花の時期など、バラの性質そのものに革命的な変化を起こし、この変化以前のバラを「オールドローズ」、以降のバラを「モダンローズ」と表現するようになりました。

■やっぱり気になるのは「花の形」

現在バラの種類は2万種類以上もあるといわれています。育成由来、樹型、そして花形など、いくつかその種類と特徴によって分けられますが、今回は「花型」に注目してみたいと思います。

バラの花型は、花弁、芯の高い・低い、全体の形などで分類されます。
花を横から見て花の中心が高くなっているものを「高芯咲き」と呼び、芯の高さが花全体の形を作っているといってもよいかもしれません。花弁の形は、バラの個性を特徴づける大きな要因となります。

花弁の先が下のほうに反り返って、真上からだと剣先のように尖っているように見えるものを「剣弁咲き」と呼びます。剣弁で芯が高いバラの代表的なものに「ブルームーン」(下図)などがあります。

花弁の先がもう少し緩やかに、半分だけ反っているものは「半剣弁」、花弁が丸い形をしたものは「丸弁」(下図参照)と呼ばれます「クイーンエリザベス」などは、丸弁のバラですね。

他に、花弁が波打った「波状弁」。この形のバラは「フリル咲き」などとも呼ばれます。

バラといえば、幾枚もの花弁が折り重なって、というイメージが強いかもしれませんが、花弁が多いものばかりではありません。
下図(ホワイトウイングス)のように一重に並んで咲く「一重咲き」や5枚の花弁が重なって咲く「半八重咲き」など、咲き方にもいくつか特徴があります。

他にも「カーネーション咲き」「シャクヤク咲き」「ポンポン咲き」「クォーターロゼット咲き」などなど、一見「これもバラなの?」とびっくりしそうなものまで、実にさまざまな形があります。

いずれも長い期間の試行錯誤があって、私たちの目と心を楽しませてくれているものでしょう。時間と情熱をかけ、大事に育てられたバラたち。その数2万種類ということは…2万通りのエピソードと感動があるのかもしれませんね。

(アール)