【水濡れ厳禁!】雨と湿気と革製品。

革製品はカビる!ことを、ご存知ですか?
ライフレンジャー編集部の中でアンケートをとってみたところ、革製品がカビることや、お手入れの仕方を正しく知っている人がいませんでした。
これから雨が増え、湿度が高くなる季節。大事な、そして決して安くはない革製品をどのように手入れすればよいのか、専門家の方にうかがってきました!
今回、お話を伺うのは革製品のデザイン・製作から販売を手がけるS’FACTORY代表の陣内さんです。


写真提供:S’FACTORY

■皮はなめして革になる!

革はそもそも、動物の皮膚からできています。という言い方は少し語弊がありますね。動物の皮膚である皮を加工してできるのが革という素材、と言ったほうがよいかもしれません。その工程は複雑で、とても多くの手間がかかっています。

この過程の中で、革の特徴が大きく分かれる工程となるのが「なめし」と呼ばれるもので、「タンニンなめし」と「クロムなめし」の2つに大分されます。

工程を細かく見ていくとだいぶ複雑なので、ざっくりお伝えすると

▼タンニンなめし…植物で加工
ハリやコシのある丈夫な革になる・自然の風合い・昔ながらの手法・皮の特徴をそのまま生かす・経年の味わいが楽しめる・なめし加工に時間がかかる・傷や水に弱い・汚れやすい

▼クロムなめし…化学物質で加工
軽くて伸縮性がある・経年による変化が少ない・着色が簡単・傷などに強い・短期間で加工可能・化学物質を使うため、体質的に合わない人はアレルギー反応が出る可能性あり

長所に見えることが欠点になることもあれば、その逆もあり。デザインや用途もですが、それぞれに独特の個性があり、革そのものの好みも分かれるところだと思います。

■タンニンなめし革の手入れについて

陣内さんに伺ってきたのは「タンニンなめし革」の手入れについて。色々と気をつけたほうがよいことがありそうです。

―― まず、タンニンなめしの革製品を使うときに気をつけたらよいことはなんですか?

タンニンなめしの革は表面加工をしていないので、気をつけるといえば「濡らさないこと」が一番ですね。また、濡れてしまったときに絶対にやってはいけないことが、ドライヤーで乾かしたり、天日に当てたりすることです。慌てて急に乾かそうとドライヤーを使う方が結構いらっしゃるんですが、これは絶対にNGです。革が縮んでしまって台無しになります。

―― 雨や水に濡れてしまったときの対処があれば教えてください

水がついた、と思ったら柔らかい布などですぐに優しく拭いてください。このとき、ごしごしこすったり、強く押したりしないこと。実は水に弱い性質を生かして型押しなどの加工をしますが、つまり濡れた状態で強い刺激を与えると元に戻りにくくなってしまうということなんです。

その後で直射日光が当たらない(日陰の)、風通しのよい場所でゆっくりしっかり乾かすのがベストです。革の内側まで水がしみこんでいる場合は、丸めた紙などを使って水分を吸い取ってから陰干ししましょう。

―― 使わない間のお手入れについては、どのようにすればよいでしょう?

シーズンが終わったら、まずは風を通します。自分で気づいてない部分まで、足は思っている以上に汗をかいていますから、ブーツや靴などは内部もよく乾かすことが大事ですね。クロゼットの中に入れる場合は、湿気吸収剤をマストで!機密性の高いクロゼットにはなるべく入れないほうがよいと思いますね。

植物性の脂でできている革製品専用のトリートメント剤や、防水スプレーをメンテナンスに使うとよいですよ。革靴を買ったらまず防水スプレーをしっかり塗布してください。

■まとめ

なめしの加工方法を伺っただけでも、ものすごい手間と時間をかけて作られていることがよくわかりました。革は少しずつ自分のものになっていく感覚も楽しめる素材だと思います。これから湿気の多い季節。カビなんて生やさないように気をつけてくださいね。

取材協力:S’FACTORY
http://www.s-factory.ne.jp/