【気象と健康】冬は心筋梗塞がもっとも多くなる季節・・・その原因とは?

インフルエンザの感染患者数が過去最高記録を3週連続で更新。今年は史上最強とも言われる寒波の到来などで寒さも厳しく、体調を崩す人が急増しています。そして冬に最も多いといわれるのが、心臓や脳など循環器系の病気。とくに心筋梗塞には注意が必要です。
心筋梗塞とは、血液が正常に流れなくなって心臓に必要な酸素や栄養分の供給が途絶えてしまうことで、心筋が壊死してしまう病気です。激しい胸の痛みや冷や汗、嘔吐などの症状があり、迅速な処置をしないと死にいたる危険性の高い恐ろしい症状です。

なぜ冬に心筋梗塞が多くなるのか?

冬は「急激な温度差による血圧の変化と血管の収縮」が多くなる季節です。暖房の効いた暖かい室内から寒い屋外に出たり、暖かいリビングから寒い風呂場やトイレなどに移動したりすることで、皮膚の表面の温度が急激に下がります。このとき、皮膚の下では体温が低くなり過ぎないように調整するため、血管が収縮します。こうすることで皮膚の表面の血流は少なくなり、身体の中心を流れる血液の量は増えることになります。一気に増えた血液がスムーズに流れるのを邪魔する存在(=動脈硬化など)があると、発作が起こることになってしまいます。一方、寒い外から暖かい屋内に入るときは、皮膚の表面温度が急激に上がり、上記とは逆の現象が起こって酸素不足となり、心筋の働きが弱まることになります。
こうした「急激な温度の変化」が血流の異常を起こして心筋を弱らせていくことで、心筋梗塞が起こりやすくなってしまいます。ほかにも、睡眠時の発汗による体内の水分不足や、寒い脱衣所から熱いお風呂に浸かることで血圧が急上昇する現象(ヒートショック)など、急な温度の変化による身体への負担が心筋梗塞の危険性を高めるといわれています。

心筋梗塞を起こさないために気をつけるべき10のこと

1:冬場は脱衣所や浴室なども暖かくし、家の中の気温差をできる限り少なくする
2:お風呂の温度はやや低めに(38~40度が理想)
3:入浴時間は短めに
4:入浴後には水分を補給する(コップ1杯程度)
5:高齢者や心臓に持病のある人の入浴は、家族などの見守りが必要
6:入浴の前にアルコールは摂取しない
7:収縮期血圧が180mmHg以上、または拡張期血圧が110mmHg以上ある場合は入浴は控えたほうがよい
8:朝起きたら水分補給(睡眠中に汗をかいた分を補給する。コップ1杯程度)
9:寒い日の外出にはしっかりした防寒対策を
10:タバコは控える(できれば禁煙が望ましい)

ストレスや疲労の蓄積によって誘発されることもあるため、ストレスの解消法や十分な休養を心がけるようにしてください。

(アール)