昔ながらの生活の知恵 打ち水の冷却効果

江戸後期の俳人、小林一茶が「武士町や四角四面に水を蒔く」と詠んでいることからも分かるように、涼を取るための打ち水は、古来より行われてきました。そんな打ち水には、どのような効果があるのでしょうか。

打ち水により気温が下がる理由

特に都市部においては、地面にあるアスファルトやコンクリートが、多くの熱を蓄えてしてしまいます。それらに打ち水をすることで、その表面温度を下げるだけでなく、気化熱により周囲の気温を下げることも可能なのです。

また、都市部での打ち水は、近年問題視されているヒートアイランド現象の解消にも、一定の効果があると言われています。実際、国土交通省は「水の週間 一斉打ち水大作戦 in 国土交通省」と題した、打ち水の推奨運動を毎年実施しています。たくさんの方が打ち水をする様子を目にするだけでも、涼しさを感じることができるでしょう。

なお、一般的には朝夕に行う打ち水が、最も効果的だと言われています。夏の日中など地面が高温になっている場合、そこに打ち水をしても即座に蒸発してしまうため、その効果はほとんど持続しないのです。それどころか、湿度の上昇により余計に蒸し暑さを感じるかもしれません。夏の日中に打ち水をするなら、日陰にある比較的低温の地面を選ぶようにしましょう。