有史以来、一度も噴火した記録のない火山を、以前は死火山と呼んでいました。また、噴火した記録はあるものの、現在は噴火活動をしていない火山を、以前は休火山と呼んでいました。しかし、すでに死火山や休火山という用語は使用されていません。一体なぜ、それらの用語は使用されなくなったのでしょうか。
防災上は無意味な死火山と休火山の定義
噴火の周期は火山により大きく異なり、中には数万年に一度だけ噴火する火山もあることが、後の研究で判明しました。死火山や休火山という分類は、防災上、何の意味も持たないことが明らかになったのです。
そのため気象庁は、1960年代以降、噴火した記録のある火山を全て活火山として定義しています。1975年には、気象庁が事務局を務める火山噴火予知連絡会により、活火山は「噴火の記録のある火山および現在活発な噴気活動のある火山」と定義されました。なお、2003年には「おおむね過去1万年以内に噴火した火山および現在活発な噴気活動のある火山」と、その定義は変更されています。
死火山や休火山も噴火の可能性はある
以前は死火山と思われていた御嶽山も、1968年には活火山に選定。その後、1979年10月28日を皮切りに、同山は数度の噴火を繰り返しています。2014年9月27日に発生した噴火では、死者57名、行方不明者6名(2014年10月28日時点)が出る大惨事となりました。このように、以前は死火山や休火山に分類されていた火山でも、噴火する可能性はあるのです。
現在、日本に存在する活火山の数は全部で110。そのうち47の活火山は、2009年に「火山防災のために監視・観測体制の充実等の必要がある火山」に選定されており、24時間体制での監視が続けられています。そこには日本の最高峰、富士山も含まれているのです。
※参考資料
気象庁「活火山とは」
http://www.data.jma.go.jp/svd/vois/data/tokyo/STOCK/kaisetsu/katsukazan_toha/katsukazan_toha.html