さまざまなお仕事と天気の関係をお聞きする「天・気になるシゴト」、第6弾に登場いただくのは、隅田川花火大会をはじめ、多くの花火大会でご活躍の花火師、株式会社ホソヤエンタープライズ・細谷圭二さん、株式会社丸玉屋・小勝煙火店の小勝(おがつ)康平さんのお二方です。夏といえば花火大会!気象で夏といえばゲリラ豪雨…花火のお仕事でどのようなことがあるのか、伺ってきました。
細谷圭二さん
小勝康平さん
① 花火のお仕事の中で天気はどの程度重要ですか? 10段階評価でお願いします
細谷さん:天気のことばっかりですよ。だから10以外にないですね。
② 天気について、何を・一番・どのタイミングで、知りたいですか?
細谷さん: 隅田川の場合は当日の朝に開催の有無を決定しますので、それまでにハッキリしたことがわかるのが理想です。それに花火は火薬なので、打ち上げないで残したら、その後の処理がとても大変なことになるんです。
ただ、怖いのが風とゲリラ雷雨です。ゲリラ雷雨の予測はリアルに早ければ早いほどありがたいです。
花火を観にいらっしゃる方が被害に遭われないように、という意味もありますね。ゲリラ雷雨があると、本当にもう…。数年前に隅田川花火大会でゲリラ豪雨があったでしょう。実際のところ、天気はリアルタイムでわかるようになってきてはいますが、来ることを止めることはできないですからね。
小勝さん:あとは風ですね。隅田川花火は、日本一打ち上げが難しい現場とも言われています。川や海や防波堤ではなく、都会のど真ん中でやるわけですからね。
そんな厳しい条件の中で、あれだけ多くの人がいて…。花火は燃えカスが出るものですので、雨もさることながら風は相当注意してみないといけないんです。
写真:墨田区
③ 天気はいつどんなときにチェックしますか?
小勝さん:週間天気予報が発表されるじゃないですか。そこに雨マークが見えると、1日に何回もチェックしていますよ、更新されるたびに。
細谷さん:そりゃあもうしょっちゅう見ていますよ。アプリだって2つも3つも入れてあります。だから天気の状態なんてわかっちゃいるけど、「天気どうだ?」って周りの人に聞いたりしてね。
小勝さん:そうそう、慰みのような感じですよね。
④ 天気によって苦労していること・工夫していることは?
小勝さん:天気予報は見ますが、まず、雨は降るものだと思って常に準備をしています。降らなかったらラッキー!くらいの気持ちです。
花火をセット(設営)したところにビニールをかけたりとか。花火は段取りが全て。段取り次第で8割~9割が決まるんです。だから今日は絶対降らないとわかっていたとしても、念のための準備だけは必ずしていきますね。
⑤ 今までで一番「天気に悩まされた」ことは?
細谷さん:最近、特に天気が全然よめないことですね。ゲリラ雷雨だけでなくて。日本は四季なんていいますが、今は夏と冬の二季しかない。亜熱帯気候になっている気がしてしまいます。
小勝さん:よく言われることかもしれませんが、雨の通り道、雷の通り道があると思います。あると信じています、のほうがいいかな。ここはいつも雨が降るな、雷がおちるな、って。
花火屋同士でも、どこそこはいつも雨にやられる、雷にやられたという会話をよくしますね。昨年は特に多摩川全域で結構やられましたし、川の増水などもありました。川の増水はとても危険ですからね。
細谷さん:うちでも昨年1回だけ、お盆に天候が悪くて花火大会が中止になりましたが、他はなんとかできました。その年によって通り道も変わるのかなと思ったりしますが、とにかく情報が欲しいですね。
写真:墨田区
「3D雨雲ウォッチ」は、ゲリラ豪雨のタマゴから発見できるんですか? ついでにタマゴが出来たら撃退してくれると嬉しいんですけどねえ(笑い)。
これは余談ですが、花火屋さんは夏だけ稼いであとは遊んで過ごしているとかいう人もいるんですよ。そんなことないんです。
もちろん、夏に一番消費が多いのでそれはしょうがないですが、雨のことなども考えて人を普段の倍、来てもらっているんですよ、だって万が一雨になったら、間に合わないですからね。絶対にそんなことにしてはいけないのも、我々の重要な仕事ですから。
雨、とくにゲリラ雷雨(ゲリラ豪雨)は、花火屋の皆さまにとっては天敵のような現象なんですね。細谷さん、小勝さん、ありがとうございました!今年の隅田川花火でゲリラ雷雨がこないように、祈りたいと思います。
取材協力
株式会社ホソヤエンタープライズ 細谷圭二さん
http://www.hosoya-hanabi.co.jp/
株式会社丸玉屋小勝煙火店 小勝康平さん
(アール)