天気が気になりそうなオシゴトや、天気との意外な関係などをお聞きする本企画。第3弾はツーリング雑誌『アウトライダー』編集長の菅生雅文さんにお話を伺っています。本企画恒例の5つの質問を菅生さんにお答えいただきたいと思います!
菅生雅文さん
① ツーリング雑誌編集のお仕事の中で、天気はどの程度重要ですか? 10段階評価でお願いします
10点ですね。ロケ中に重要なのは必須というか当然として、それ以外の時間も。編集中などのデスクワーク中は関係ないと思われるかもしれませんが、読者のことを考えると・・・。『アウトライダー』の読者は日本中にいて、さまざまな気象条件の中でツーリングを楽しもうとしています。1年365日、常に読者の誰かがツーリングしているかも知れない。読者のことを思えば天気ってすごく大事なんですよ。
② 天気の何を一番知りたい?どのタイミングで?
その場によって要素は多々ありますが、一番、といわれると雨と雪ですかね。いつから降り始めるのか、どれくらい長く降るのか? いつ止むのか。これが2~3週間前にわかるとありがたいですね。
もちろん、あくまで理想ですよ。まずは週間天気予報の精度の高さを期待したいですね。ロケは1日や2日では終わらないので、7日分の予報が発表されたときに全部当たってほしいです。信頼度がA,B,Cの3段階で表示されていますが、全部Aくらいしっかりわかるといいなと思いますね。「晴れ時々曇り」とか「一時曇り」ならまだいいのですが、「曇り時々雨」だと困っちゃう。その「時々」っていつのこと? そこが一番知りたい部分なんですよね。
③ 天気はいつどんなときにチェックしますか?
ロケ中はひっきりなしにアプリなどを使って天気を見ます。エリアがしぼってある情報や、雨が降っている地域がわかる情報などをチェックして、その後のスケジュール調整をしています。
④ 天気によって苦労していること・工夫していることは?
苦労といえば、今年は雪に苦労しました。キャンプ特集にぴったりなロケ場所を想定して、スタッフ5名のスケジュールをおさえ、必要なものを各所で手配していたのですが、取材予定日直前にまさかの大雪。バイクで雪道を走行するのも危険ですし、4月発売号で雪のキャンプシーンを掲載するわけにもいかないので、仕方なくロケを延期しました。
ただ、発売日や締切りがあるのでそんなに先延ばしにはできなくて、キャンプ場や道路管理事務所をはじめ、各所に状況把握の連絡を入れたり、スタッフのスケジュールを再調整したり、相当な苦労というか労力を使いました。
結局、撮影場所を変更し、できれば取材や撮影をしたくない「週末に撮影」でなんとか間に合わせることができたんです。こうした調整のすべてが工夫といえば工夫ですが、いやあ、本当に参りました。
写真提供:『アウトライダー』(撮影:柴田雅人さん)
⑤ 今までで一番「天気」に悩まされたことは?
バブル景気でロケ日数を長くとれていた8日間のロケで、石川県に取材に行ったときのことです。自他共に認める雨男の作家さんと一緒だったのですが、8日中7日間、雨が降ったこと。8日間のロケだと、普通、半分は晴れるもんなんですよ。
半分晴れたらバイクの撮影、後の半分は観光施設の屋内撮影とかできますが、7日間も雨だと、どうしようもなくて。しかもそれが巻頭特集だったので本当に困り果てましたね。長年この仕事をしていますが、あんなに雨に悩まされたロケは後にも先にもありません。今だったらアプリもあるし情報の精度も高くなっているから、取材現場で計画を練り直すのも簡単ですけどね。
菅生さん、ありがとうございました!これからツーリングシーズンですね。ライダーの皆さま、どうか気をつけて楽しいバイクライフを!
取材協力:『アウトライダー』編集長・菅生雅文さん