巨大地震が発生すると、火山の噴火も懸念されることがあります。実際、東日本大震災の原因となった東北地方太平洋沖地震の発生後、火山が噴火する可能性を指摘した研究者も少なくありませんでした。巨大地震と火山の噴火は、何か関係があるのでしょうか。
宝永地震の発生後、富士山が噴火
1707年10月28日、遠州灘から四国の沖合を震源とする巨大地震、宝永地震が発生。地震計などが存在しない時代に発生した地震であるため、正確な数値は不明であるものの、そのマグニチュードは8.6と推定されています。東北地方太平洋沖地震が発生するまでは、この宝永地震が日本最大の地震だったのです。
そして宝永地震の発生から49日後、1707年12月16日に富士山が噴火。これは富士山の噴火の中では最も直近のものであり、非常に大規模な噴火であったことから、宝永大噴火と呼ばれています。現在では、この宝永大噴火は宝永地震により誘発されたと推測されているのです。
諸外国の事例
巨大地震の発生後に火山が噴火したのは、何も日本に限ったことではありません。1952年11月4日、ロシア(当時はソビエト)で発生したカムチャツカ地震の翌日、カルピンスキ山が噴火。その後も複数の火山の噴火が続き、カムチャツカ地震の発生から約3年後、1955年10月22日になってからもベズイミアニ山が噴火しました。
そのほか、1957年3月9日にアメリカで発生したアンドレアノフ地震(アリューシャン地震)、1960年5月22日に発生したチリ地震、1964年3月28日にアメリカで発生したアラスカ地震、2004年12月26日にインドネシアで発生したスマトラ島沖地震、2010年2月27日に発生したチリ中部地震の後にも、やはり周辺の火山が噴火しています。巨大地震が発生してから火山が噴火するまでの期間は、それぞれの地震によりかなり異なるものの、その関連は無視できるものではありません。
これらの噴火は、巨大地震が火山の地下にあるマグマに影響を与えて発生したとも推測できますが、それを科学的に証明することは現状では困難です。巨大地震と火山の噴火の関連を明らかにするためには、さらなる技術の進歩が必要なのです。
内閣府「災害教訓の継承に関する専門調査会報告書 1707 宝永地震」
http://www.bousai.go.jp/kyoiku/kyokun/kyoukunnokeishou/rep/1707-houeijishin/
内閣府「平成24年版防災白書」
http://www.bousai.go.jp/kaigirep/hakusho/